ふふふ、笑いが止まらない。

”彼氏さん”って呼ばれたこと? それもあるけど、あの水瀬さんがワンコとじゃれているからだ。それも、見たことない笑顔で嬉しそうに「よしよし」って撫ぜているもんだから!

ご老人の言う通り、相当な犬好きなんだ。

私もワンコの隣に並びたい。


「おい、いつまで笑ってんだ」

「だって」


ご老人とワンコが去って行った後、水瀬さんと一緒に近くのベンチに腰を下ろした。撫で繰り回したお陰で毛だらけになったスラックスにエチケットブラシをかける。

たまたまだけど、持っていてよかった。


「ワンコに好かれやすいんですね、意外です」

「高木は俺を激しく誤解してるな」

「してますよ、だから色々知りたいんです」

「そっちこそ、老人によく話しかけられる」


え? っと聞き返すと、水瀬さんはこの前も、と答えた。

ジムでのことを言っているらしい。

確かに言われてみれば、高齢の人に話しかけられやすい方かもしれない。買い物に行っても、ジムに行っても。そういや、課長にだって孫のように気に入られている。


「おじいちゃんっ子だったからですかね」