やっぱり……。

だから、私は論外ってわけね。いや、そもそもタイプじゃないだけかもしれないけど。

運ばれてきた珈琲に口を付ける際に、何気なく他のテーブルに視線を移すと、周りにいる女性客がチラリチラリと水瀬さんを見ていることに気が付いた。

オンでもオフでも、おモテになるのね。


「今までに、仕事関係の人と付き合ったことないんですか」

「無いって言ったら?」

「職場恋愛も悪いくないってことをお教えしようかと」

「残念ながら、最悪なことを知ってる」

「えっ! 付き合ったことあるんですか!」


声が大きすぎたらしい。

テーブルの下で軽く足を蹴られた。


「え、それは部下ですか? 同僚? それとも上司?」

「なぁ、高木。さっきも言ったが、仕事をプライベートな事情で乱されるのは嫌いなんだ。その逆も同じで、プライベート中に職場の人間と話をするのは好きじゃないんだ」

「私も今、プライベートですよ」

「それは屁理屈だ」