そんな彼が、今日はキャメル色のケーブルニットにアンクルスラックスを履いて、カフェで珈琲とケーキを食べているなんてギャップ萌えもいいところ。

むしろ、誰にも教えたくないですよ。

社内秘にして金庫に保管したいくらいです。


「そういえば、この前、傘ありがとうございました。今、乾かしているところなので、週明けに持っていきますね」

「あぁ、いつでもいい」

「ジムといい、カフェといい、縁があるみたいですね、私たち」

「ただの偶然だろ」


さらりとかわされてる。

珈琲カップを持ち上げる際に見えた時計も、いつものとは違いカジュアルなもので、会社にいる水瀬という人は双子の兄貴なんだよ、と言われたら信じてしまうかも。

それくらい、普段とごっそり違う。

ようよく見たら髪型も、いつもと違うような?


「水瀬さんってとことん、仕事とプライベートを分けたい人なんですね」

「なんだ、急に」

「いえ、そう思ったので」

「まぁ、どちらかと言えばそうだな。仕事をプライベートな事情で乱されるのは嫌いだ」