おじいさんの顔がパッと明るくなる。
可愛らしい人だなぁ。
健康維持のためにジムに通い始めたというおじいさんは、私と同じ歳くらいの孫がいるらしく、久々に孫に会えたような気がして嬉しいと言ってくれた。私も嬉しい。
筋トレの後はウォーキングマシンに移動して、「ガラスに映る自分の姿を見ながら歩くといいんですよー」なんて話してるところ、そのガラス越しにこちらを見つめる1人の人物に気が付いた。
目が合って、ドキリとする。
嘘でしょ、これは神様の思し召し?
「水瀬さん!」
おじいさんとの筋トレを終え、ちょうど同じくトレーニングを終えて帰ろうとしている彼を呼び止めた。
まさか水瀬さんもここのジムの会員だったなんて!
嬉しさのあまりスキップしたい気持ちを抑え(いや、若干抑えきれずツーステップで)、水瀬さんの下に駆け寄ると、彼はあからさまに嫌そうな顔をした。
「悪いが今はプライベート中だ」
「偶然ですね、私もプライベート中です」



