「どうしたの? もう戻り?」
「明日から出張だから、今日は早めにあがっていいって」
「にしても早すぎない?」
「ばーか、色々やることあるんだよ」
腹立つ言い方だなぁ。
陳列棚をさっと見た藤原はスタミナ弁当を手にとって、未だ悩んでいる私に「それ本当に食うの?」と、怪訝な眼差しを向けてくる。いいじゃん別に。
「きーめた、こっちにしよう」
「まじか」
「この意外な組み合わせが美味しいんだから」
ん? 意外な組み合わせ……意外な存在。
どっかで聞いたセリフだな。
「あとでひと口ちょうだい」
「絶対あげない」
「ケチ」
「そんな可愛い顔してもダメ」
コンビニから外に出ると、覚悟していた以上に冷たい風が頬をさした。
ふぅーと吐く息も白い。
会社のエントランスまで戻ると、昨日から飾り始めたクリスマスツリーが目に入った。
今年のクリスマス、水瀬さんは何をして過ごすのかなぁ。いや、おそらく仕事だろうけど、食事くらいは普段より良いものを食べたいって思うよね?
誘ってみる……?