そうなの?
男にとって尽くしてくれる女の方がいいんじゃないの?
母性的な? 何でも聞いてくれる女に安らぎを求めるものなのでは……。
「なるほどねぇ、その後輩ちゃんが言うのも一理あるわね」
帰宅後、まだ家にいた昌也にあずちゃんから言われたことを話すと、メイク中だった彼はフェイスブラシで顔を叩きながら大きく頷いた。
下地から始まり、コンシーラー、ローライト、ハイライト、ファンデーション、パウダー、まだ塗るの?
「お弁当を作るなんて痛いって」
「あぁ、それは私もちょっと思ったわよ」
「思ったなら止めてよ!」
いつもコンビニで適当にお昼を済ませる水瀬さんに栄養のあるものを食べてほしくて、わざわざ早起きして特性弁当を作ったというのに。
喜んでもらえるどころか、ドン引きされたんだから。
「男ってバカだから自分に尽くしてくれる女の有り難味が分からないのよね。1人じゃ何にもできないくせに、猟銃本能だけは一人前だから厄介」
「猟銃本能?」
「手に入らない女ほど狩りたくなる本能よ」
落ちそうで落ちない賢い女……なるほど。



