とはいえ、毎日好きだと言い続けるだけで、この恋は成就するんだろうか。
恋愛って押したり引いたりするもんだって聞くし……。
いやいや、でも私に一途さを取ったら、何が残るっていうの。
そうよね。
「紗夜先輩ってぇ、ちょっと痛いですよね」
「え!」
お昼休みの女子トイレの中、鏡の前でメイクを直していると、後からやって来たあずちゃんにそんなことを言われ、思わずのけ反った。
痛いって何かな~? なんて笑って誤魔化したものの怖いもの知らずの彼女には通用しなさそうだ。
「付き合ってもないのにお弁当作ってくるとか、重すぎです」
「そ、そうかな」
「あと、毎日告るのもどうかと思いますよ。そうやって安売りすると、どんどん自分の価値が下がっちゃいますから」
「そうなの!?」
はぁぁぁ、と大げさなほどの重い溜息。
リップをちょこっと塗るだけでメイク直しを終えたあずちゃんは、「いいですか?」と私の両肩に手を乗せた。
「いい女っていうのは尽くす女じゃなくて、落ちそうで落ちない賢い女です。そう簡単に自分から尻尾を振っちゃだめですよ」