「何、ニヤニヤしてるんだ」
「好きだなぁーと思って」
「泣いたり笑ったり忙しい奴だな」
小突くふりして嬉しそうな顔。
だんだん分かってきた水瀬さんのこと。そして、これからも知っていきたい。
「大好きです」
「分かったから」
「そんな顔してもダメですよ、毎日毎日呆れるほど言いますから。覚悟しててくださいね」
不安にならないように。寂しくならないように。
ずっと傍で一途な愛を伝え続けるから、何も心配しないで、私だけを見てくださいね。それで、たまには水瀬さんも好きだと言葉にしてください。
たまにでいいから、ドキリと胸が弾けるような――――。
「……覚悟するのは、お前の方だ」
「んっ!」
遠慮のないキスがきた。
お前は俺のものだって、言われているようなキス。
もしや、私が好きっていう度にこうやって答えてくれるってこと? それだと、ちょっぴり自信ないかも。
だって、もう頭も唇も痺れて体中から力が抜けてしまいそうなんだもん。
確かにこれは覚悟がいるな、と思っていると、不意にキスを止めた水瀬さんが何かを見つけたような声を出した。
「窓の外、見てみろ」
「何ですか?」
指をさされた方を見て、私も思わず「あっ」と声に出す。
――月が綺麗ですね
――それなら、青くはないな、
雲に覆われていたはずの空は、いつの間にか晴れ。
青い色をした月が静かにこちらを見ていた。



