詳しく聞かせてよって鼻息を荒くするユリヤは、目の前にあったお皿に1個だけ残っていたたこ焼きをパクリと口に入れた。途端、また渋い顔。
引きの良いユリヤに昌也は笑い、私も少し笑った。
――大丈夫。
きっといつかこの胸の痛みも治まり、懐かしい思い出になる日が来るはず。
その時、私は思うの。
あぁ、なんて素敵な人を好きになったんだろうって。
私の手には余るくらい理想の人だったなぁって、叶わなくて当然だよって。
そして、ほんの少し引きずるんだ。
一途を証明できなかったことを。
次の日の朝、仕事を終えた彩さんが顔を覗かせてくれた。
だけど、あいにく昌也とユリヤは爆睡していて、部屋も散らかり放題だったので、外へ行きませんかと近くのカフェに誘った。
モーニングセットを2つ注文して、空いていた席に座る。
「思ったより元気そうで良かった」
「それはこっちのセリフですよ、彩さん目の下にクマができてますよ」
「あはは、この1週間徹夜続きだから仕方ないわ。本当なら紗夜ちゃんも今頃はこうなってるはずなのに、悔しいでしょ。貴司が気にしてた」
「いえ、私は」



