2人は何も言わなかったし、聞いてこなかったけど、私が限界を迎えたことを分かってくれたのだろう。今日のたこ焼きパーティーだって、私を励ますために開いてくれたんだと思う。

だから、せめてしんみりするまいと明るく振る舞っていたけど、昌也がそんな顔をするから。

ぼろぼろ涙が零れてきた。


「紗夜……」

「ごめん」

「どうして謝るの、紗夜はよく頑張ったわよ」

「そーだよ、偉かったぞ」


ユリヤも頷き、頭を撫でてくれる。

起死回生の一撃ともいえる新たな方法で企画を成功させつつある水瀬さんは、首を繋げるどころか昇進の話まで出てきているらしい。

そうなったらきっと部署を離れるだろうし、毎日会えなくなる。

時々社内で見かけるだけの、遠い存在になってしまうだろう。

でも、それでいいのかもしれない。

想いが届かないのなら、顔を合わせる方が辛い。


「もう忘れなさい」

「そうだよ、新しい恋でもしてさ」

「そういや、告白されたんでしょ? 同期の藤原くん」

「何それ、その話聞いてない」