素直に応じた私に、昌也はお母さんのように「いい子ね」と微笑む。

めずらしく3人とも夜に揃ったため、ユリヤの提案でたこ焼きパーティをしようということになり、どうせなら彩さんも呼んで夜通し飲み明かそうって話になったけど、彩さんは来られないそうだ。


「彩ちゃんは仕事が忙しいのね。紗夜、どうしてグレープフルーツを剥いているの?」

「肝臓にいいって聞いたことあるから」

「それはお気遣いありがとう。でも、後でいいわよ。まさかタコ焼きに入れる気じゃないわよね」

「にんにくも良いらしいけど、それじゃ変わり種にならないもんね」

「変わらなくていいから! それより、最近の彩ちゃんは働き過ぎじゃない?」


プレートの上で綺麗な丸型になったたこ焼きを転がす。

その昔、たこ焼き屋で働いていたという昌也は職人さながらの腕を披露していく。


「実はさ、前に私が手掛けていた企画が頓挫したって話したでしょ? あれが急遽進められることになって」

「わふ、ひょかった(良かった)じゃん」


はふはふ、熱々のたこ焼きを口に入れながらユリヤが親指を立てた。

でも次の瞬間、渋い顔になり缶ビールを煽った。マーブルチョコ入りのが当たったらしい。