ええーと……。

言葉に詰まる私を藤原はまっすぐ見つめている。

水瀬さんの視線も感じるけど、そちらを見る勇気はとてもじゃないけど無くて、この重く息苦しい空気に耐えきれる気がしなかった。


「あの、大丈夫ですので、私のことはお構いなく」


このまま時が止まるのではないかと思うほどの沈黙が続き。

やがて離れていく足音を聞きながら、藤原の手を強く握った。








「あー、ちょっとまだ焼けてないって!」

「いいのよ、回しているうちに焼けるから。それより紗夜? 今何を入れたの」

「秘密。変わり種があった方が面白いでしょ」


ロシアンルーレット的な。

げげって顔をする昌也に見えないよう、チョコが入っていた包み紙を後ろへ隠すと、めざとくそれを見つけたユリヤが「マジかよ」と悲鳴をあげる。

その他にも、こっそり用意してあった塩辛やミントタブレットも発見され取り上げられてしまった。


「ドキドキがあった方が面白いのに」

「違う意味でドキドキしちゃうからやめてね」

「どういうこと?」

「この前の健康診断で引っかかったのよ、肝臓の数値がちょっと高いんですって」


あらら、それなら塩辛はやめておこう。