「企画どころの話じゃないってことだね……」

「うん、そうなる。ごめんな、せっかくここまで来たのに」

「そんな、藤原のせいじゃないし。こっちこそ色々力になってくれたのに、何もできなくてごめん」

「代案が必要なら、」


いやいや、と顔の前で手を振る。


「それどころじゃないでしょ? こっちは何とかするから藤原も頑張って。大変だと思うけど」

「おぅ、ありがと」


営業マンらしく笑顔を顔に張り付けた藤原は、私の肩をポンと叩いてからフロアに戻って行った。

その後ろ姿を見送りながら「――さあ、どうする?」と自分自身に問いかける。代案を練るのか、このまま頓挫するのか、はたまた1からやり直すのか。

1番良いのは、時間はかかるけど新しい企画を練ることだろうけど、そんな悠長なことをしている時間がないんだ。

だって、あと数週間で水瀬さんは――――。


「高木、営業部はどうだった」

「あ、あの……」


企画部に戻り、営業部で聞いてきたことを報告しなければと思ったけど、水瀬さんをはじめ、みんなの顔を見た瞬間、鼻の奥がツンと痛くなり視界が潤んだ。

だって、悔しい。

あんなに頑張ったのに、こんなことで企画案が潰れちゃうなんて。