ていうかね、ていうかね。

今日会おうなんて呼び出されて待ち合わせして、ついにデートをしてくれるんだって浮かれたというのに、連れて来られた場所は居酒屋で、開口一番、昌也に関する質問ばかり。

正直ガッカリですよ。

もつ煮込み鍋は美味しいけど、悲しいです。


「そうか、悪かったな」

「いえ、分かって頂けたならいいです」

「俺はてっきり高木があの変な奴とルームシェアしてて騙されたり、その、嫌な思いをさせられたりしてるんじゃないかって思って」


え、待って待って、あの時、そんな風に考えてたの?


「だけど、1人で住むには経済的に無理で、致し方なくその昌也ってやつと一緒に暮らしているのかと。それなら上司として相談に乗ってやらないと――」

「ちょっとちょっと、どこまで悪い方向に想像しているんですか。確かに家賃が3分の1になる分、経済的に助かってますけど、あのマンションってファミリー向けの3LDKですよ。1人で1DKに住むのと同じくらいの負担を払ってます」

「というとは、無理してるわけじゃない?」

「1人で暮らそうと思えば、暮らせます。でも、昌也と、あともう1人ユリヤっていう丸の内OLがいるんですけど、3人でいると楽しいから一緒にいるんです」