ラディンは第八まである皇国騎士団の団長の中で最も若い。


過去例を見ないほどに、若い。


しかも身分は下級貴族。

昔々はそれなりに高い地位のある貴族ではあったらしい、のだが。
今や、王宮に伺候することも適わない、下級貴族の出身。


そして、ラディン自身、権力争いといったものにはそれこそ、これっぽっちも興味のない、よく言えば清廉潔白な、悪く言えば融通の利かない性格であった。


若くて、取り込むこともできないラディンを、王宮に住む上級貴族や高級官僚達はあまり歓迎していない。


要は、ラディンにこれ以上、功を立てさせてはならぬ、という風潮がまかり通っている所があるのだ。


もちろんそういった者達とは別に、ラディンに目をかける者達も山程いるのだが。