大陸が、一つ。
そして残るは広大な海。
しかし、海は最早静かなものではなくなった。
――神々がそれを許さなかった。
ただ、舟遊びをすることすら許されないほど過酷で、残酷な環境が横たわった。
海は、人々にとって、恵みをもたらすものではなく、恐怖の的でしかないものと変わり果てた。
そして、神々はヒトであってヒトでないものを海の護人として、新たに作り上げた。
大陸の人間が渡れない海を渡れる智慧を持つ種族。
かつての大陸があった名残である、陸のかけら――ノワーンと総称される小島――に入り、そこに存在する大陸にはない貴重な物資を手にすることのできる智慧を持つ種族。
ヒトであり、そして神からの使いとも言われる彼らは『グリューン』と呼ばれた。
