「・・・・・・貴女はそうやっていつも、お構いなしに好き勝手言うんですよ」

低く呟くように漏れた声。
怒ってるようにも聴こえて、はっとして腕の力を緩める。・・・と。次の瞬間には片腕を強く引っ張られて前によろけ、凪の胸元にきつく抱き込まれていた。

「・・・高津晶が瀬里お嬢を手駒に利用するつもりなら、刺し違える気でいました」

低く透る声が、わたしの頭の天辺に埋もれて聴こえた。

「お嬢の為にならいくらでも死ねます。・・・・・・私に出来ることはそれだけです。死ぬまで私はお嬢のものですから」

淡々と。・・・でもどこか。凪ぐように穏やかな気配で。

「この命も、私の全てはお嬢だけのものです」

まるで。神聖な誓いの言葉のように。わたしの中に切なく染み込んだ。

大島凪の魂も生き様も、捧げる相手は。たった一人わたしだけ。そう告白されて泣きそうだった。胸が潰れそうに嬉しかった。それが凪の、最上級の愛だって分かるから。

だけど。一番聴きたい言葉は。
息を詰めてそれを待った。

「・・・・・・私にとって貴女は何より大事な」

凪は言葉を切って、ゆっくりと呼吸を紡ぐみたいに。

「・・・生涯ただ一人の女です」




・・・ちゃんと好きって云って。

凪はわたしの心の中を浚うように、最初から深いキスを繋げて次第に何もかを熔かしてく。頭の後ろを掴まえられ、これが答えだって言ってるみたいに。噛みつくように貪られる。

そのまま抱き上げられてソファに横たえられ。耳の中や首筋を愛撫されながら全てを晒け。容赦ない指と舌に翻弄されて、隅々まで躰を開かされる。
この間は灼きつくような熱の中、ひたすらわたしを押し上げ追い詰めて支配した。それは変わらなく思えた、最初は。

いつしか。探るように確かめるように。・・・泣かせ方を憶えたように。


何度も浮かされて凪の名前を呼ぶたび。
唇と熱い吐息が重ねられた。


わたしを揺さぶる激しさが増した何度目か。

「・・・・・・瀬里・・・ッ」

零れ落ちた凪の低い声を耳の奥に残しながら。
昇り詰めて、白い意識に呑まれていった・・・・・・。