「大島と一緒になる決心は変わっていないのね？」

口許に浮かべた微笑みはそのままに、綺麗なアイメイクの目許をすっと引き締めたお母さん。一番の本心はここだったんだと気付いて。

「変わってないわ」

迷わずきっぱりと答えた。

「私は、瀬里と大島の気持ちを第一に考えるつもりでいます。でもね。父親はどうしても娘のこととなると、心配のあまり口を出さずにはいられない生き物なの。素直に首を縦には振ってもらえないのは、覚悟なさい」

「･･･分かってます」

お父さんだって最後には渋々でも賛成してくれると思う。わたしが幸せならそれでいい･･･って。

「近い内に機会をみて、話そうって決めてるの」

「･･･そう」

その時。それまで変わらずに在った笑みが僅かに曇って見えた。

「なにか都合わるい？」

わたしの探るような目線に、お母さんはややあってから、あらたまって口を開く。

「この間のお見合いの話を憶えているかしら」