あの頃も今も。
凪の気持ちを振り向かせたくて足掻いてる自分。
晶さんていう“爪痕”を残してでも。わたしは凪から。
圧し込めて隠してる本当のことを引き摺り出したかった。

凪が言ってくれたら。
ちゃんとお父さんにも筋を通して、正々堂々と一緒になれる。
引け目なんか感じさせない、わたしが選んだ人だからって。
お母さんが言うように、組長の娘っていう立場で自分が矢面に立つ覚悟だって、とっくにつけてるのに･･･！




凪は。どれくらいか沈黙したあと。ようやく口を開いた。

「･････････私には、答える権利はありません」

低く透る声が、耳の奥に残響となって。たわんだ。