「でしたら高津晶にはもう会わないで下さい」

凪は低く。でもはっきりとそう言った。

わたしは顔を上げ凪を見た。
横顔はただ前を見据えてるだけ。本心なんか欠片も覗かせもしない。

嵐が猛吹雪に変わって。段々と自分が芯から凍てついてく。気がする。

「・・・・・・・・・それは誰の為に言ってるの?」

心臓が氷の塊にでもなったみたいに、沸く感傷すらない。ただじっと凪を見つめて。

「・・・凪がわたしを好きだから会うなって言うなら、もう会わない。でもそうじゃないなら二度と聴きたくない。・・・・・・答えて」

見えない刃を手に。わたしは凪に静かに迫った。