あの日アキラさんは言った。

『女の子が泣くのは見たくないんだ、哀しくなるから。・・・俺でいいなら忘れさせてあげるよ。優しく泣かせてあげるから・・・おいで』

・・・本当に優しかった。
わたしの名前を呼んで、髪に口付けを落として。
躰中を指と舌でなぞっては。切なく何度も昇り詰めさせる。
わたしの中に入って来たのは一回だけで。あとはひたすら、わたしへの愛撫を繰り返した。

満たされたっていうのとは違う。何が変わったわけでも。
それでも少しだけ。彼に舐め取られた傷が癒された気がして。
わたしはアキラさんにまた逢いたいって純粋に思った。


だからこうして今も。
凪の代わりに抱いてもらう。

触れてもくれない、触れさせてもくれない・・・凪の代わりに。