二人で一緒に後片付けを済ませた頃には日付も変わっていた。
翌朝は仕事で休みじゃないのは凪も承知していたが、どうしても一番欲しいものをもらわなければ気が済みそうにない。

瀬里を難なく抱え上げてバスルームへ直行し、いつもなら体を洗うのは別々なのを、バスチェアに腰掛けた自分の膝の上に瀬里を乗せて髪から爪先まで凪が洗ってやる。
急くように髪までドライヤーで乾かしてやりながら、ほんの少し瀬里を呆れさせた。





「・・・瀬里」

ベッドに横たえ、耳許に低く透る声で囁いただけで瀬里は躰を震わせる。
艶めかしく蕩けた眼差しで欲情を露わにする腕の中の子羊を、凪は一気に追い詰めて押し上げる。
絶え間なく責めて何も考えさせない。自分にだけ溺れていればいい。もう二度と。他の男に抱かせたりはしない。

壊してしまいそうなほど抱いても抱き足りない。三年分を埋めるには。


瀬里を揺さぶりながら凪は、その一点に烈情を吐き出し続ける。
今夜はことさら、彼女を安らかに眠らせてはやれないのだろう。



これからはきっと愛を憶えた日になって、胸にいつも蘇るのだろう。・・・二人で祝う誕生日が。


【完】