春日組組長の娘、春日瀬里との結婚の許しをもらいに、大島凪という男として正面を切る。
低く透る声で淡淡と、だけど迷いなく言い切った。

わたしは伸ばした両腕をやんわり凪の首に巻き付けた。

「いいわ。・・・見届けさせて」

「・・・・・・お前無しで生きられない男の末路を、か?」 

のしかかってくる凪の体重を受け止めながら。耳元に囁かれた妖しい響き。
不敵に笑まれた気配がしてゾクリと震えた。

「見せてやる。お前の為にしか生きられない男の生き様を。・・・覚悟はできてるな?」

わたしを組み敷いて容赦ない愛を突き付ける。




凪からのこの上ない至上命令を。刻みつける。



・・・未来永劫。




【完】