凪と離れてから二度目の春が来て。車の免許を取りに教習所通いを始めた。これには父弟が大反対。

『瀬里姉に運転なんかさせたら死人が出るだけだろ!』

本気で止めさせたかったらしい幸生に、お父さんまで加勢して。運転手がいるんだから必要ないの一点張りだったのを、母が一言で黙らせた。

『運転くらい出来なくてどうします。生きるか死ぬかのこのご時世を、生き残れないじゃありませんか』

そこまで大層なことは考えて無かったんだけど。一生『お嬢』ってわけじゃないんだし。近い将来に子供が生まれて、とか現実的に考えたらやっぱり必需品かなって。



後で聴いた話。わたしの近況を報告してた本条さんが、教習所に通い出したって凪に電話で話したら。『今すぐ止めさせて下さい』って凄まれたそう。・・・どういう意味で?