重厚な鉄製のドアに、Meteorとわざと殴り書きをしたみたいな風貌の入り口の前で。わたしは凪に向き直って目を合わせた。

「帰りはアキラさんに送ってもらうから、凪は帰って」

「・・・・・・・・・」

濃い目はあんまり好きじゃないわたしは、切れ長の一重とか、全体的にあっさり整ってる凪の顔は・・・好きで。分け目を少し左に寄せて作ってる前髪の感じも、サイドは後ろに流してる感じも好き。意外とスーツが似合うところも好きだし、耳に残る声が・・・好き。

凪が好き。

でも。

「・・・あまり遅くならないでください。明日も仕事ですから」



行くな、って引き留めないから。・・・凪は嫌い。