お父さんと幸生はどこかの接待で。お母さんはママとしてクラブに。だいたい帰りが深夜になる家族とは、朝ご飯も夕ご飯もほとんどが別々。

いつも凪がいてくれた、何でもないようなことが。家に戻ったら、誰もいないことが当たり前になって。
一緒にいたって黙ってる時間の方が多かったのに。凪がそこに居てくれただけで、寂しさや心許なさとは無縁の日々だった。

お手伝いさんが用意してくれた美味しいご飯も。6人掛けの広いダイニングテーブルで一人で食べると本当に味気ない。
何も言わなくても凪が目の前に座っててくれただけで。・・・それだけで、ありきたりのメニューでも美味しくないって思ったことなんて、一度も。


何だか家族以上に家族で。
離れてから気付くことが沢山ある。


離れるまで気付かなかったことが、こんなにも。