それから凪が答えてくれるまでの十数秒、・・・ううん数十秒にも思えた長い間。息を詰めるように待った。

『・・・それはお嬢の許に帰る時まで、預かってもらえませんか』

そんな時でさえあまり変わらないトーン。

『今の私には答える権利がまだありません』

誰にも認められる一人前になるまでは。・・・なった時には。
ああ。そう言いたかったんだ・・・って。今やっと分かった。
それが凪の矜持なら。

わたしはそっと息を吐いた。そして苦いような思い切ったような、色んな気持ちが綯い交ぜの笑みを口許にほころばせた。

「・・・覚悟しておいて。次に会った時には、わたしの気が済むまで言ってもらうから・・・!」

『・・・・・・構いませんよ』


そう言った凪は向こう側でふっと笑った。・・・・・・気がした。