ラウンジに入ってから、琉璃は早かった。
ワザと周りに自分が、モデルのRURIである事を気付かせて、気を自分に集めてくれた。
案の定、夏帆がそれに飛びついた。

専務を置いて、瑠璃に話かけに行った。

「涼香さん、行きますよ?」

「あ、はい」

天城さんに言われるままに、私は専務がいるカウンターに走った。

「悪い、連れてくからな」

天城さんが、カウンターにいる後輩と言われるバーテンに声をかけた。
さっき話してたたげあって、黙って頷いてくれた。
そして、早く!と目で合図まで。


私と天城さんで、専務を抱きかかえた。

「天城さん、大丈夫ですか?」

「俺は男だから、大丈夫。涼香さんは?エレベーターまで頑張れる?」

「なんとか、がんばります」

とは、言ったものの、酔っ払って体の力が抜けてる人間がこんなに重いとは思わなかった。
ほとんど、天城さんが抱えてくれていた。

後ろで声がした。

「あれ?蓮さん?蓮さーん?」

しまった…夏帆が戻ってきたんだ。
まだラウンジを出るまでじゃない、見つかってしまう….

「あぁ。そこのお客様なら、トイレに行きましたよ。そこの奥の」

天城さんの後輩とされるバーテンさんが、誤魔化してくれた。

助かった。
私と天城さんは息を飲んだ。

「あいつに助けられたな…」

「機転が利きますね。助かりました」

「また礼はしとくよ…」

「ありがとうございます」

そんな事を話してると、無事にエレベーターに着いた。
天城さんは、専務のタキシードの胸ポケットから、このホテルのカードキーを取り出した。

「2013号室、スウィートだな。一人で行ける?さすがに、モデルのRURIを一人に出来ないから」

「ここまで来たら大丈夫です。ありがとうございました。琉璃にも伝えて下さい」

専務の肩を持ちながら、話をしていた。

そして、エレベーターが閉まった。