瑠璃が車から降りた。
葵の店で、買ったドレスを着飾り一流モデルの風格をまといながら、ロビーに向かっていた。

「涼香、うまくやってるかな…」

瑠璃が、受付でカードを渡してパーティ会場に入ると、すぐに柳井社長に捕まった。

「RURI!来てくれたんだね。ありがとう」

「柳井社長!ご無沙汰してます。本日は、おめでとうございます。来るのが遅くなってしまって…」

「いやいや、来てくれるだけで、私は嬉しいよ。楽しんでいって」

「はい。ありがとうございます」

瑠璃は、柳井社長から離れて、辺りを見渡した。

「もう、帰ったのかな…」

そう思った時、見覚えのある人物を見かけた。

「あれは…確か、如月物産の秘書室長じゃなかったっけ…。この間、涼香に絡んでた…え、じゃあ、あそこにいるのが、涼香がついてる専務なの?」

目で追いながら、一人でブツブツ言ってると、その視線に気がついたのか、氷室が瑠璃に向かって行った。

「RURIさん、ですよね?」

「え?えぇ。そうですけど、あなたは?」

「これは、申し遅れました、如月物産秘書室長の氷室と申します」

頭を下げながら、隙なく名刺を瑠璃に手渡した。