高瀬に明日は頼む、と言って先に会社を出た。

明日か…


家に帰ってきてから、一人ウィスキーをロックで飲みながら、考えていた。
パーティは1時間も出たら十分だろう。
それが終わったら、高瀬と話が出来ないか…

話?
高瀬と話って…

俺は何を話すつもりなんだ?

今日の匠の話ぶりだと、言ってる間に見合いの話は来るだろう。
悠長に構えてられない。

そうじゃないと、匠があれだけ高瀬に対して牽制する訳がない。
俺との長い付き合いの中、あんなに焦っている匠を見たのは初めてだ。

答えは出たな。

俺は、高瀬に電話していた。

明日、時間を取ってくれ。という為に…


♪♪♪♪♪♪♪

出ない。

出ない、と言うより電源が切られている。
何故だ?

妙な胸騒ぎがした。

それから1時間後にかけても、答えは同じだった。

「かからないな…」

匠に電話をかけていた。

「あ、なんだ?」

「匠か、お前また彼女になんかしたのか?」

「は?なんだよ、急に。彼女って誰だよ!」

「分かってるくせに、言うなよ。高瀬だよ。明日の事で、話があったから電話したんだが、電源切れてるんだ」

「あぁ、俺と話している時に切れたから、充電切れじゃないか?」

「お前また、なんかしてないだろうな?」

「する訳ないだろ。それよか、お前まさかとは思うけど、本気なってないだろうな?」

「は、お前に関係ないだろっ」

それだけ言って電話を切った。

そこまでして、高瀬を近づけたくないのか?