嫌な予感しかしない…

「そんな、あからさまに嫌な顔しなくてもいいじゃないですか?」

また、引っ掛けようとしているのか、

「してませんけど?何か?」

「ふっ、冗談はやめましょう。仕事の話です。今度の土曜日アスランの事なんですが…」

「はい」

「私も同行しますので」

「え?」

同行、これもまた嫌な予感しかしなかった。「室長も行かれるんですか?」

「嫌ですか?」

嫌に決まってるだろう。
勘のするどい男が二人もなんて、心臓持たないよ、私。
昨日、瑠璃が身代わりしなくていいと言ってくれたから、少しは安心出来たって言うのに、室長もその場にいられるとなると…

「いや、室長が来られる事が嫌なのではなくて、室長がこられるのであれば、私は行かなくてもよろしいのでは?」

フッと笑って、室長は私に近づいてきた。

「やっぱり、目立ちたくないと?」

「いえ、あまり華やかな場所は苦手なので…」

「そうですか、でも私が行くのは会長の代わりですからね。そこは諦めて行って下さい」

室長の顔が近付いてきた。

近い、ち、近い。

「室長、近い、です」

「近い?何が?」

肩に手を置き、片方の手を顎にかけた。
動けなかった。
室長の刺さるような視線から、逃げる事が出来なかった。