「ここ…」

役員しか停める事が出来ない、地下の駐車場…、室長がなぜ?

「フッ、どうして秘書室長がここに停めれるの?って顔してるね」

私の表情を見たのか、室長は話を続けた。

「私はね、社長専属の秘書だから特別にここを使う事を許されてるんだよ。さぁ、乗って」

「え?」

一台の高級車の助手席のドアを開けた。

「乗って」

「あ、あの…」

「乗って」

有無を言わせない、室長の気迫に私は負けて車に乗った。

「…どこに行くんですか?」

「どこ?君の家に送って行くだけだよ。心配はいらない」

い、家?

「あ、あの、電車で帰れますから、降ろして下さい」

「ダメだ。家に着くまでの間に、話を聞かせてもらうから」

室長は私に探りを入れたいのか…

「話って?なんですか?」


「君は何者だ?どうしてここで働いている?」

前を見ながら、突き刺さる言葉を投げかけてきた。

「な、何者って、言われましても…どう答えたらいいんですか。至って普通です」

「普通?違うね。まず、どうしてフランス語話せる事を履歴書に書いていない?有利になる事じゃないか?」


やっぱり、そこが引っかかっているのか…

今、ここで話する訳にはいかない…

そう、私が瑠璃、世界的に有名なモデルの双子の姉がいると言う事は、別に違う何かがある事を…