参ったな…

ここまで出来るなんて…

きっと高瀬自身、必死にやってるだろう。元々、総務部で俊哉叔父さんがついて指導してきただけに、スキルはあったはずだ。
ただ、順応性が高いと言うのか、ここでの空気に飲まれていないという事が、よく分かった。

彼女は何者だ?

慣れていない秘書、しかも専務専属秘書なのに…
無駄のない動きに、自然と目が行ってしまう。
まだ数時間なのに…

何故だ?


「あー!!!」

ビクッ

な、なんだ…隣から、彼女だ!

そう思うと同時にドアを開けていた。

「どうした!」

それと同時に匠も飛び込んできた。

「す、す、すみませんでした……」

高瀬は個人的な事と言いながら、携帯を持って廊下に出ていってしまった。

「お前、早かったな」

「え?あぁ、社長室にいたからな」

しれっと話す匠を見て、食えない奴だと。あいつも何を考えているのか分からないな。

「匠、お前、今日の柳井さんとの会食の事どこまで話進めてた?」

「アスランの柳井さんか?決まったのが、3日前だろ?慌てて棚田に予約入れたけど、なんかあったのか?」

「いや、それならいいんだ」

やっぱり…

匠の言うように、ただもんじゃない。

高瀬、彼女をもっと知りたいと思った。