秘書課での、ネチネチとした会話をすり抜け…、(氷室室長に助けてもらったようなもんだけど)専務室に入った。

一応、出勤しているか奥のドアをノックし中を確認したが、まだ来ていなかった。

よかった。

コーヒーの準備をして、今日1日のスケジュールを確認する。

そして、その先にあるスケジュールも頭に入れた。
パソコンを立ち上げ、メールを確認する。
凄い数のメール…
しかも、英語、フランス語、さすが。

中身を確認、昨日氷室室長から教えてもらった通りに業務をこなしていった。


♪♪♪♪

「はい、高瀬です」

「高瀬か?俺だ、如月だ」

「お疲れ様でございます。専務」

「悪いな、昨日の今日で1人にしてしまって」

「いえ、お言葉ありがとうございます。ただ、氷室室長も何かと気にかけてくださっているので、業務には支障ないかと」

「そうか。そっちに着くのが遅れそうなんだ。予定どうなってる?」

「何時頃到着予定ですか?午前中は11時に白金物産の白石様との打ち合わせが入ってますが?」

「11時か、それまでには着くから大丈夫だ。何かあったら携帯に連絡をくれ。匠から番号は聞いてくれ」

「はい、かしこまりました。お気をつけて」

ふー。
ハードル高いな、専務からの電話って。
で、匠って氷室室長の事、匠って呼んでるんだ。
仲がいいんだ…

遅れてくる、と聞いて少しホッとした私。

自由に飲んでいいよ、と言われたのでコーヒーを飲もうと、立ち上がった。

コンコン

軽くドアがノックされ、氷室室長が入ってきた。

「失礼?専務はまだかな?」

「氷室室長、先程電話がありまして、遅れて来られるそうです」

「そう。慣れたかな?」

「昨日の今日ではなかなか…。でも氷室室長がよくして下さってるので安心です」

「室長でいいよ?なんなら匠さん、でも?」

「え?」

気がつけば、氷室室長もとい、室長に壁際に追いやられていた。