「スーツがない」

私は、家で頭を抱えていた。
昨日、美玲と飲み明かしたまではよかったんだけど、美玲から「スーツあるの？毎日の服大変だよ？」と言われて現実に戻されたのだ。
今までは、制服があったから会社に着ていく服の事はあまり考えた事もなかったんだけど…。

クローゼットを前にして頭を抱えた。

「なに、これ」

我ながら、趣味悪っ…

目立たないように、と服を選んできたが…完全に裏目に出てる。


「通勤は大丈夫でも、秘書はだめでしょ！」

こんな格好で仕事に行ったら、秘書課の女性陣に刺されるな、きっと。やっぱりヤバい…どうしよう。

買いに行く？
うーん。

悩んで…結局、昼から買い物に出かけた。

10月になったが、陽射しが今日は強く感じられた。

嫌味なくらい空は青空が広がっていた。

私の心もこんな風に青空だったらよかったのに…