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「あ、ごめん。電話」

「いいよ」

もしもし?と美玲が電話に出た。
その間に、私は和希さんに、オススメのカクテルを頼んだ。
笑顔で注文を聞いてくれる和希さんを見ながら、こんな人が上司だったらいいのに、と思っていた。
ま、和希さんもイケメンだから、もちろん狙っている女の人は多い訳で…。
ここ、カウンター席も取り合いなのだ。そう、和希さんの真ん前の席だから。

「はい、俺のオススメの雪国、どうぞ」

「ありがとう」

「仕事大変?」

「うーん。大変って言うか、異動があってね…」

「そっか、会社勤めは大変だよね。頑張れよ」

そう言いながら、何かあるといつも和希さんは頭をポンポンとしてくれる。とっても癒されるんだけど…

「はい!」

「ねー、あれなに?信じられない、何あの女…」

やば…、あのー聞こえてるんでけど?
盛大な嫌味が隠す事なく聞こえてきた。和希さんは聞こえてるのか、表情も変えず他の人の注文を聞いている。
モテル人の側にいるのは、やっぱり大変だわ…そう思っていると、電話が終わったのか、美玲が私に向き直った。

「ごめんね。何の話?」

「ん?仕事大変だねーって話してたの。電話いいの?」

「いいの…」

「そう?なんかあったでしょ?聞くよ?聞いてもらった分はね」

笑いながら話すると、少し安心したように美玲が話しを始めた。


それから、二人で飲み明かした。