社長の息子…

そうだ、フランス支社から帰ってきたって、昨日美玲から聞いてたんだ。
そうだった。忘れてた。

「どこで、私を知ったんだろう…やっぱりあの事が原因?」

「…多分そうでしょうね。秘書が必要ってなって、秘書課から探そうとしたけど、適任者がいなかった。だからたまたまフランス語、話せた涼香がいい!ってなったんじゃない?確か、フランス語話せる秘書って、氷室室長ぐらいじゃない?」


頭を何かで殴られたような感覚になった。
頭が痛い…
どうすればいいの…

「お飲み物どうされますか?」

和希さんが声をかけてくれていた。
グラスが空になってる事に、気付いてなかった。

「あ、じゃ。ミモザ」

「ミモザですね、かしこまりました」


「ね、美玲。社長の息子さんてどんな人?私見た事ないよ」

「私も会った事ないよ。先輩の情報だと昨日も言ったけど、超イケメン。背はねぇ、180あるんじゃないかな。モデルやれるんじゃないか、って言うぐらいの…」

「いや、そう言う事じゃなくて…。仕事ぶりとか…」

「あ、そっち?仕事ぶりは先輩も見た事ないから、何とも言えないけど、鳥越部長は頭が切れる男だって言ってたよ。社長より目の付けどころが違うってね」

「へぇ、そうなんだ。余計に困ったな…」

「えー!なんでよー」

仕事出来る人間なんて、ごまかしきかないじゃない。
またもに話したら、バレるじゃないの。いろんな事が…

美玲はいいなぁ、と羨ましいと言うけど、変わってあげようか?
もう!人の気も知らないで…

永遠に月曜日が来なかったらいいのに…