玄関のチャイムを鳴らすと、蓮さんが今帰ってきたのか、スーツ姿で出迎えてくれた。

「遅くなってごめんな…っ」

部屋に入るなり抱きしめられ、キスをされた。

「…れ、蓮…」

「っ、俺も今なんだ。でも、早く会いたかったよ、涼香」

私も蓮さんの首に腕を回した。

「私も会いたかった…」

「……ごめん、今日は優しく出来ない、かも…」

「え?あっ…」

そう言うと、私を抱きかかえて寝室に連れて行った。
そして…

「……涼香っ」

私達は、無くしていた時間を取り戻すかのように、抱き合った。
何度も、お互いの名前を呼び合い。
優しく出来ないかも、と言いながら蓮さんは優しかった。
優しさの中にも、力強く翻弄される事はあったけれど、私は何度もその優しさの中から頂天に昇っていた。


「…喉が渇いた、な…」

目が覚めた時は、もう夜中だった。
あれから、何時間経っていたんだろう…、ベットサイドに置かれている時計を見たら、2時を指していた。

まだ2時か、そう思った。
後ろから腕が強く巻きつかれた。

「どうした?」

「あ、喉が渇いたなって…」

「…そこに水あるよ」

そこ、と言われ同じベットサイドに目をやると、ペットボトルが置かれていた。

「俺の、飲みさしだけどな…」

「もらうね」

体を起こして、水を飲んだ。
ゴクリと喉を鳴らして水が流れていった。

美味しい…

「俺にもくれないか」

蓮さんが、水が欲しいと言ったから、振り向いてペットボトルを渡そうとした。

「飲ませて、口で…」

「え?」