「す、すみませんでした。今回の事…」

頭を下げ、ちゃんと伝えようとした私を止めたのは、室長だった。

「高瀬、私こそ謝らなけばならない。君がSEIWADO側の人間だったとは…失礼な事ばかりしていて申し訳なかった。ただ、私としては如月を守りたい、その思いだけだった。しかし、だからと言って許される事じゃないと言う事は、高瀬社長が言ったように、如月を許せない、それを非難されても仕方ないと思っている。ただ、蓮は関係ない。俺の一存でやった事だから、れ、如月専務の事は誤解しないでいてほしいんだ」

室長が私に頭を下げた。

「室長、頭上げてください。私は、会社の上にいた人間だからこそ、その重圧を知っています。だから、継ぎたくないと逃げたんです。室長が如月を守りたいと思う気持ちは分かります。会社の利益にならない結婚は、望ましくないと思う事も。だからと言って、私はSEIWADOを出して、蓮さんとどうにかなろう、なんて思ってなかった。私だけをみて欲しかったし、私も如月専務を好きになったんじゃない、如月蓮を好きになったんだって…」

「涼香…」

それが本心。
会社同士の結びつきになんて、なりたくなかった。
ただ、今回の事は最初から言っておけば、こんな事にはならなかった…。
それがあったからこそ、私が表に出ようと思った。自分が招いた事もあるから、蓮さんを如月を守りたいと思った。

「高瀬、蓮を如月を頼む。私は、ここにはいていい人間じゃない」

「匠!何を言ってるんだ」

「室長!それは違います。室長は如月にいなくてはならない人です。側でこれからも支えて下さい」

「匠、涼香の言う通りだ。これからも俺を如月を頼むよ」

「蓮…、ありがとう。高瀬、いいのか?君を苦しめた俺なのに…」

「室長?会社を思ってこそ。そうですよね?だから…いて欲しいんです。お願いします」

私達3人が分かり合えた、瞬間だった。