休憩が終わる時間ギリギリに、会社に戻った私と美玲。
じゃあ、またねと言った所で、鳥越部長に声をかけられた。

「高瀬君、ちょっといいかい?」

「え?あ、はい」

私が、鳥越部長に呼ばれたのを聞いていた美玲が合図する。
『これが、内示よ』と…

「今から、人事部のミーティングルームに来てくれるかな」

「はい、分かりました」

私は、鳥越部長の後をついて行った。
人事部に入ると、私がいる総務部とは違った雰囲気が流れていた。
さすが、来週大きな人事があるって美玲が言ってただけに、ピリピリムードが漂っていた。

先にミーティングルームに行ってくれ、と鳥越部長に言われ、人事部の奥にあるミーティングルームに行った。

総務部のミーティングルームとは違い、モノトーンな色合いで部屋の中は統一されていた。
同じ会社で作りは、同じなのに色合いが違うだけで、こうも感じが変わるものなのか…そんな事を考えていた。

「待たせて悪いね、あ、そこにかけて」

部長に座るよう声をかけられ、近くにあった椅子に座った。私の前に鳥越部長が座った。

膝の上で、両手を握りしめ言葉を待った。

「高瀬君」

来た…

「はい」

「君に秘書課に行ってもらいたい」

言葉を出す事が出来ず、下唇を噛んだ。

「まぁ、急で悪いんだが…」

「あ、あの…どうして、私なんですか?秘書課に希望出されてる社員さんは、他にもいるんじゃ…」

「まぁ、そうなんだがね…」

コンコン

乾いたノックの音が響いた。

「失礼します」

え…入ってきた人物を見て、驚きを隠せなかった。

「お話は済みましたか?」

笑みを浮かべながら、独特のオーラを放ちながら、秘書課室長 氷室匠が入ってきた。