昼食は美玲と外で食べに来ていた。

会社の人間が、いない事を確認した美玲が放った言葉に私は、驚きのあまり何も言えなくなっていた。

「…聞いてる?涼香?大丈夫?」

「あ、う、うん。大丈夫、それって…」

「決定事項よ、残念ながらね」

決まった事なの?と聞こうとして、かすかな望みは『決定事項』の言葉にもろとも崩れた。

頭の中で、『決定事項』の言葉が回る。

どうしたものか…


「美玲、私が誰の秘書になるかは聞いた?」

「ううん。それが鳥越部長にカマかけて聞いたんだけど、ダメだったのよ」

「そっか。じゃあ、いつ辞令が出るかは聞いた?」

「それは週明けだって言ってた。総務も人事異動があるんだって、涼香以外に。来週から忙しくなるから、って言われたわ」

「来週かぁ…」

このどんよりした気分のまま、週末を過ごさないといけないと思うと気が遠くなった。誰の、秘書なんだろう。
ただの秘書課に異動だったらいいんだけど、そんな訳ないよね。


「また、何か分かったら連絡入れるからさ」

「うん。ごめんね」


気分が重いまま、休憩時間は過ぎて行った。