「…聞いてるの?蓮さん!」

「ん?ああ、聞いてるよ」

「もう!今日は部屋連れてってくれるんでしょ?」

「いや、今日はダメなんだ」

「いつになったら、連れてってくれるの?」

あれから数日、毎日のように夏帆さんと会っている。
俺としては、これ以上夏帆さんと関係を持とうと思っていなかった。
あの日は、間違えて抱いてしまったが、もうこれ以上好きではない女(ひと)を抱いてはいけないと思っていた。夏帆さんには悪いが、好きになれるとは思っていなかった。

全て、時間が解決するだろう、と。

しかし、一つ疑問に思う事があった。夏帆さんは、俺との時が初めてのはずなのに、やけに積極的に俺を誘ってきていた。やたらと体を触ってくることも…
キスを迫ってきた事もあった。
本当にあの夜の彼女と、同一人物なのか?と思うほどに。

日を追うごとに、頭の中が整理出来たのか、あの夜の事を思い出していた。

あの声、体…

やっぱり、おかしい…
いくら酒で酔ってたからって、間違えるか?覚えてないものなのか?

なくもないのか…

考えるのは高瀬の顔しか出てこない、という事だった。