「涼香!兄さん、涼香目が覚めたみたい…」

バタバタッ

今の声って、瑠璃?
ここどこ?

あ、病院!

ガバッと身体を起こした所に、兄達が病室に入ってきた。

「涼香大丈夫?」

瑠璃が顔を覗き込んできた。

「…瑠璃、来たんだ」

「東京に帰ってきてたからね、兄さんから連絡受けて、慌てて来たら涼香が倒れたって聞いてビックリしたわよ」

「ごめんね、あまりの事で頭がついていってなくて…」

「…で、大丈夫か?」

「兄さんごめんね、私まで迷惑かけて…」

「まぁ、倒れたお前を支えたのは、陽だから、礼を言うなら陽に言えよ」

「…すみませんでした、陽さん」

後ろで立っていた陽さんが、いきなり話を振られびっくりしていた。

「それは関係ないだろ、悠貴。目の前で倒れて無視出来るかよ。大丈夫?涼香ちゃん」

「はい…」

お母さんは、と聞こうとしたら兄が、今は落ち着いてるから一旦家に帰したらしい。
瑠璃も来たことだし、と。

陽さんからも、危険な状態には変わりないけど、今の所は小康状態だと。
意識さえ戻れば…

「それより、あんた専務さんと何かあったの?さっきから電話鳴りっぱなしよ?」

「え?」

瑠璃に専務さんと言われ、黙って出てきた事を思い出した。
あの日と同じ事をしていた事に…

「専務さんって、如月のか?」

「そう!兄さんちょっと聞いてくれる?ひどいんだから!…んっ…」

慌てて、瑠璃の口を塞いだ。

「…っ、何すんのよ!涼香」

「ちょっと待って、瑠璃」

「瑠璃、あっちで話聞くよ」

それを見ていた兄が瑠璃を病室の外に連れ出した。

「…あ!」

体が言う事を聞かず、兄と瑠璃を見送るしか出来なかった。