長いキスの後、専務は室長に電話をかけた。

「匠か?悪かった、電話出ずに…ん、あぁ、やってないよ。何にもしてねーし」

声を上げた専務の顔を見た。

「あぁ、高瀬にも変わればいいんだろ?ちょっと待って…」

待って、と言いながら専務は、私の耳にこっそり呟いた。

「今の事は内緒で…」

うんと頷き、電話を変わった。

「もしもし、高瀬です。すみませんでした」

「高瀬、蓮と何を話した?」

「え?今回の事、ケガの事で謝罪を専務がしてくれました、え?あ、はい。他にはないですよ…そんな、あ、はい。そうです」

「本当ですね?」

「…はい」

本当ですね?と言われ、心が痛んだが、隠さないと…動揺が、室長にバレないかドキドキしていた。

専務と変わります、と持っていた携帯を専務に渡した。
専務は、ニコっと笑って渡しの頬にキスしたかと思うと、しれっとした顔で、電話に出ていた。

「もしもし?疑いは晴れたのか?高瀬が俺を相手する訳ないだろ?見合いしたって、匠が言ってたんだろ?ったく、疑い深いのも考えものだな…」

よくもまぁ、そんな事を…専務。
室長に知られたら、タダじゃ済まないんだろうな、きっと。
帰っても私、隠せるかな…


今から帰るからと、専務が電話を切った。
そして、私に振り返った。