両親に瑠璃の結婚相手である、永山怜さんの事をこれでもか、ってぐらいに聞かれた。特に母に。父は、兄が会社を継いでるから、あまり瑠璃の結婚相手には関心がないみたいだった。ただ、瑠璃が幸せならそれでいいと。

1年振りに自分の部屋に戻った私は、ベッドで横になっていた。

コンコン

「はい」

「涼香、いい?」

母だった。

身体を起こした私に、母は

「涼香、あなたに辛い想いさせたわね。でも、ごめんなさいね。あの人も父から受け継いだ会社を潰す訳にはいかないから、必死だったのよ。だから、瑠璃やあなたに無理難題を…。悠貴もそう、あの子にも苦労かけたと思ってるわ」

「お母さん、私達3人ともワガママよね。兄さんにも悪いと思ってるの。本当は違う道を選んでたのに…」

「ううん、悠貴は悠貴なりに考えてたみたいよ。妹達には迷惑をかけられない、自分は長男だから、ってね。あの人に似て怖いところあるけどね。あなた達3人共私達の自慢の子どもよ」

「お母さん、ありがとう。落ち着いたら帰ってくるね」

「無理したらダメよ?それに、今回は瑠璃の結婚だけど、あなたもいい人出来たんでしょ?ここを出て行った時と顔つき変わったわよ。また紹介してね」

「うん、分かった」

紹介、なんて出来る日なんてこないと思いながら、心配させたくなくて、うんと返事をした。

「じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」

少しすれ違っただけで、こじれた私達の家族の絆もこれで戻れたのかな。

久しぶりに安心して私は眠った。