うー頭が痛い。

そんなに飲んだつもりもないのに、酔いがまわるのが早いな…

誰かに抱えられている感じがした、頭の上で声がする。

「専務、頑張って歩いて下さい。もう少しです」

高瀬?高瀬の声か?
帰ったはずじゃ…

高瀬か?と尋ねた。

「高瀬です。歩けますか?」

ああ、高瀬だ。
戻ってきてくれたんだ。

高瀬が部屋へ連れて行ってくれた。
何度も高瀬を確認した、本当にたかけなのか?と。

酔っていた俺はそのままベッドに倒れこんでしまった。

俺の腕の中で、高瀬の声が聞こえた。

「どうして、今日俺から逃げた」

体が重い、覆いかぶさるように、高瀬の首元で呟いた。

「匠になにを言われた」

何を言われたんだ、何を。

顔を上げた俺は、高瀬からメガネを外した。
こんなに近くで、見る事なんて想像もしてなかった。
頬をなぞる、

「綺麗だ」

ずっと、高瀬にこうしたかったのかもしれない。
そのまま、頭を押さえて俺は高瀬にキスをした。

そして、高瀬と一晩を過ごした。



朝、頭がガンガンする中、俺はベッドの上で目が覚めた。

「ん?…っ、頭がガンガンする…」

体に違和感を感じた。
誰かを抱いていた…

誰だ?
昨日、俺は誰と…
俺の腕の中で寝ているこの女は誰だ?

俺に背を向けて寝ている事もあって、顔が確認出来ない。
高瀬か?昨日、高瀬が戻ってきて…記憶がぼやけていた。分からない…

頭をスッキリさせたくて、そっとベッドから抜け出た。

そしてシャワーを浴びに浴室に向かった。