瑠璃がそっちに行くからと、電話を切ってから、数分…駐車場にいたんじゃないの?って言うぐらいの早さでマンションにやって来た。

「…で、どう言う事なの?」

「あ、あのね、瑠璃…」

「どうしてそうなったの?」

瑠璃に昨日会った事を話した。

「ふーん。で?涼香としてはどうしたいの?」

どうしたい?
そんな事言われても、どうしたいのか、なんて…

「専務さんから連絡は?」

「…ない、混乱してるかも」

「んな事ない、でしょ」

瑠璃は考えこんでいた。

「気持ち伝えたの?」

「ううん、それどころじゃなかった…」

「ね、涼香。確か、初めてだったよね?」

「な、何を…」

顔が赤くなったのが自分でも分かった。
そう、私はまだ経験した事がなかった。それを昨日経験してしまったんだ。
それも専務と…

「専務さん、気づいたでしょうね」

「っ、…そりゃ、印があるから分かるでしょ、それに、初めてだって言ったし…」

「言ったの?じゃ、やってしまった事に、焦ってるかもね。連絡ないのが、そう言うと事でしょ」

瑠璃が言う事が、そうなのかも。とおもってしまった。
気持ちを伝えるつもりで行ったけど、流れに流されて、男と女の関係になってしまったなんて、そんな…

室長が言ってた、ただの女に成り下がってしまう。
今さら、気持ちを伝えても意味があるのか…

「瑠璃、このままなかった事にした方がいい、かな」

「涼香がそれでいいなら、黙っておくのも一つだよ。でもね、気持ち伝えてないんだったら、今からでも遅くないよ。伝えなよ、専務さんだって、涼香だって分かって抱いたんだから、気持ちあるって事じゃないの?」

「気持ちあるのかな、分かんない…」

昨日の専務の様子からしたら、私だって確認してたし、会いたいって言ってたから、そのつもりだったんだろうけど、私もお酒入ってたし…

♪♪♪♪♪♪♪

ビクッ

「専務さん?」

慌てて携帯を見た。

「……っ」

「誰?」

「室長…」

待っていた人からの電話じゃなく、室長からだった。