キャー――という
女の子の悲鳴を聞くのは
朝だけで何回目だろう。

急いで否定しなきゃいけないのに
私は放心状態で
何も言えなかった。

『まじか!?
 いつからだよ!なんで俺に
 言ってくれなかったんだよ!』

って遠くで雄哉先輩の声がして

『付き合ってないですから』

って頭で思っても言葉にならなくて

その代わりに涼太先輩が

『うーん、内緒』

って。

『まじかー!おめでとう!!』

って。

他の言葉は曖昧にしか
聞えてこなかったのに
雄哉先輩の『おめでとう』
って言葉だけは何故か
鮮明に耳に残った。