私を足の間にすっぽりと収め、
両手で耳を塞いでくれていた。


そのおかげで
恐怖心は安らいだけど、
今度は自分の心臓の音が
うるさくて仕方なかった。

耳を塞がれて
外の音が聞こえない分、
余計鮮明に響いてきた。

このドキドキが
先輩に伝わっちゃうんじゃないかってくらい
私の心臓は
いつもの何倍ものスピードで
脈を打つ。


「…いーな」

雄哉先輩何か言った…?

「今、何か言いましたか?」

上手く聞こえなかったから
聞いてみたけど