俺が追いついたときにはもう
結衣は髪の毛を引っ張られていて
なのに怯えた表情は
一切見えなかった。


だけど、あいつらがバケツを取り出したのを
確認した結衣は覚悟を決めたように
目を瞑った。


その瞬間、頭で考えるよりも
体が先に動いていた。


『結衣を助けなくちゃ』


そう、俺の頭をよぎった。


気付いたらびしょ濡れで
制服が体に貼りついて気持ち悪い。

いくら真夏だからと言っても
さすがに冷たかった。